
よく耳にするトランス脂肪酸とは一体何なのでしょうか?身体に悪い、マーガリンに入っているなど、様々な情報が入ってきますよね。トランス脂肪酸はその名の通り脂肪酸の一種です。
しかし人工的に生み出されたこの「狂った油」は、悪玉コレステロール値の上昇や体内での炎症など、重大な悪影響を身体に及ぼします。含まれる食品は何かなど、正しい知識をもって、トランス脂肪酸による影響を最小限に抑えましょう。
トランス脂肪酸とは
「カラダに悪い」と評判のトランス脂肪酸。いったい何者なのでしょうか?
人工的に改造された油
トランス脂肪酸は、食品の歴史の中で人工的に生み出された「不自然な油」です。その多くは、菜種油やとうもろこし油などの植物油に水素を添加する加工で生み出されます。
ちなみに、動物の肉や乳にもわずかにトランス脂肪酸は含まれていますが、人工的なものとは性質が違うものであり、本来自然には存在しないはずのものが人工的に作られていることになります。
保存を良くする加工で生み出される
なぜ、油を加工する必要があるのでしょうか?
実は、植物油はその性質上、酸素と結合しやすく、劣化してしまうのが早いのです。そこで20世紀の初めに、油を加工して保存を良くする技術が発明されました。
その中で生まれた代表的なものがマーガリンやファットスプレッドなどの加工油脂です。油の性質が変わっているために保存も良く風味も落ちないことから、非常に使いやすい油として食品業界では用いられてきたのです。
トランス脂肪酸の4つの悪影響
今やトランス脂肪酸の悪影響は広く知られることとなり、海外では規制する動きも現れているほどです。その悪影響の実態はどうなっているのでしょうか。
1.悪玉コレステロールの上昇
トランス脂肪酸を摂取すると、血中の悪玉コレステロールが上昇します。本来、食品からコレステロールを摂取しても血液中のコレステロールには関係しません。
しかし、人工的に作られた不自然な油であるトランス脂肪酸は、血液中で利用されずに溜まっていくばかりです。その結果、コレステロールによって血液はドロドロになり、心筋梗塞や脳梗塞の原因となってしまいます。
2.肥満・糖尿病のリスクを上げる
トランス脂肪酸は血液中で有効に活用されず、脂肪として溜まりやすいものです。そのため、トランス脂肪酸を多く含む食品は、肥満を促進します。
また、血糖値を下げるインスリンの働きも弱めてしまうために、糖尿病へのリスクも高まります。
3.免疫の低下によるガンの発生
トランス脂肪酸の摂取により、身体の細胞の免疫機能が正常に作用しなくなる危険性があります。細胞をコーティングしている細胞膜は脂肪からできており、その材料がトランス脂肪酸ののような「不自然な油」では、ガンの発生に対処できなくなるのです。
4.妊婦への影響
胎児の体重減少や流産や死産などにつながる可能性があるほか、胎児の発育への悪影響、母乳の質の低下などにつながる恐れがあるため、特に妊婦はトランス脂肪酸を避けるべきでしょう。
トランス脂肪酸を含む3つの代表的な食品
トランス脂肪酸を含む3つの代表的な食品を紹介しておきます。これらの食べ物は避けて、トランス脂肪酸の危険な影響から身を守りましょう。
1.マーガリン
「マーガリンはヘルシー」はウソです。マーガリンは加工した油のかたまりとも言える食品。すなわちトランス脂肪酸を多く含んでいる危険性があるため、なるべく使うのは控えましょう。
2.ファーストフード
フライドポテトやチキンナゲットを揚げている油は使い勝手の良い加工油使われている可能性が高いでしょう。保存の良い加工油は長時間に渡って使わていることが多く、トランス脂肪酸のリスクも高いのです。
また、同様の理由でスーパーの揚げ物の惣菜などにも注意が必要です。
3.袋に入っている加工食品
袋に入っている加工食品には要注意です。これらも保存を良くし、食感や風味をよくするための加工油が使われているため、トランス脂肪酸の宝庫である可能性があります。袋パンやスナック菓子、冷凍食品の唐揚げやピザは控えましょう。
トランス脂肪酸を避けるために出来る4つのこと
意識していなくては、知らず知らずのうちにトランス脂肪酸を摂取している可能性があります。自分と、周りの大切な人の身体のために出来ることから実践してみましょう。
1.マーガリンをやめてバターにする
シンプルな方法ですが、冷蔵庫に置いてあるマーガリンをバターに変えてみましょう。バターからは良質な脂質が取れるため、ぜひとも積極的に摂取したい食品でもあります。
2.成分表をチェック!よく分からない単語には要注意
食品を買う際には、裏面の成分表をチェックして安全性を確かめましょう。「ショートニング」「ファットスプレッド」と書かれている場合は、トランス脂肪酸を多く含んでいる可能性が高いです。
3.ファーストフードや外食はほどほどに
外食産業ではビジネスを優先するあまり、使い勝手の良い加工油が多く使われています。
ファーストフードにいたってはトランス脂肪酸のほかにも添加物などの問題もあるため、ほどほどにしておきたいところです。
4.「サクサク、カリカリ」は疑ってみる
トランス脂肪酸を含む加工油は日持ちが良く、時間がたっても「サクサク、カリカリ」の食感をもたらします。
コンビニに売られているドーナツや菓子パンはその典型です。揚げ物は本来、時間が経てばしなびてくるものなのです。
まとめ
トランス脂肪酸は私たちの身の回りに溢れています。残念ながら日本では規制や表示の義務がないために、個人の努力が必要です。正しい知識をもって、トランス脂肪酸の悪影響から身体を守りましょう。